2012年8月16日木曜日

研究者が蝶の奇形を調査


研究者が蝶の奇形を調査
──フクシマの原発事故後(南ドイツ新聞2012年8月14日付け)

琉球大学の大瀧准教授のグループによるヒバクチョウの発表については日本でも一部で取り上げられているし、ドイツ在住のジャーナリスト、梶村太一郎氏がそのブログの中でも詳しく報告(http://tkajimura.blogspot.de/2012/08/the-biological-impacts-of-fukushima.html)しているが、南ドイツ新聞でもその記事が出たので、それを翻訳する。(ゆう)

本文はこちら: http://www.sueddeutsche.de/wissen/nach-nuklearkatastrophe-von-fukushima-forscher-beobachten-missbildungen-bei-schmetterlingen-1.1441389

色は鮮やかなブルーでクローバーのような形、それがシジミチョウの通常の羽である。事故を起こした福島第一原発の周辺で日本の研究者たちがこの種のチョウの奇形を観察した。数世代後でもこのような突然変異が確認された。

事故を起こした福島第一原発から65km南にあるいわきでは、この夏、すでに家族連れや若者たちのグループが海水浴を楽しんでいる。しかし、自然は人間ほど簡単に、2011年3月にこの地方を襲った大地震と津波の後起きた原発事故を忘れてはくれないようだ。そして、研究者たちがこの原発周辺でチョウの奇形を確認した。

羽が乱れたシジミチョウ
日本の研究者たちは福島第一原発周辺でチョウの
突然変異を確認した(© dpa)。

沖縄の琉球大学の科学者たちは、すでに放出され、いまだに放出されつつある放射能が、何世代にも渡って遺伝的変異を招くことを発見した。調査されたシジミチョウ類のチョウで、幼虫の段階で福島原発から放出された放射線物質を被爆したチョウの内、12%が羽の縮小や目の変形などの奇形を示した。

研究者たちはこれらの成虫をさらにラボで交配させた。これらのチョウの2世代目も18%が同じく異常を示した。第3世代では、片親が別の個体群の健康なチョウであるにもかかわらず、奇形のある割合がなんと34%まで上昇した。

科学者:チョウの遺伝子が損傷

福島第一の事故で放出された放射能がチョウの遺伝子を損傷したことが、この調査で証明された、と語るのは琉球大学の大瀧丈二氏である。彼は同時に、性急に結論を出してはいけないと警告する。この調査で得た認識は、そのままほかの種や人間に当てはめられるものではないという。研究者たちはほかの種における調査研究を計画中だ。

6月にはすでにYouTubeで耳なし白ウサギの動画が出回り、物議をかもしたばかりだ。このウサギは、福島第一原発そばで産まれたという。しかしこの動画やウサギの出所は完全には証明されていない。

2011年3月11日に起きた大地震とその後の津波により、福島第一原発は大事故を起こした。3つの原子炉で炉心溶融がおき、広範囲が放射性物質により汚染された。これは1986年のチェルノブイリ以来、最大の原発事故である。

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