上杉隆氏のヘッペンハイムでの講演
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テレビジャーナリスト、上杉隆氏は、歯に衣着せず率直に意見を言う日本では数少ないジャーナリストだ。東京にある放送局TBSの番組で、彼は2011年3月に、影響力の大きい電力会社東京電気に対し、情報隠蔽をやめて、福島事故による放射能の情報を日本国民に正しく伝えるように要求した。それからすぐに彼はその番組から降ろされ、番組も中止になった。
フクシマの事故が起こるまで、彼は原子力エネルギーとはなんのかかわりも持ってこなかった。今では彼は、東電の最大の批判者である。彼は本を書き、誰でも参加できる自由な記者会見を組織し、世界に故郷の状態を知ってもらうべく、情報活動を行っている。
ヘッペンハイムでの滞在
BUND(環境・自然保護団体)会長ギド・カールと環境問題担当牧師フーベルト・マイジンガーによるエネルギー転換政策に対する意見
「原子力ロビーの方法は世界中のどこでも似通っている」と言うのは、ベルグシュトラーセ地区のBUND会長、ギド・カールだ。だから市民がそれに対処するかにかかっている、と彼は言う。「日本ではまだ人々がそこまでたどり着いていないようだ」。いくつもの大事故を経て、原子力反対運動からエネルギー変換政策の実現に至るまでドイツでも、なんと40年もの歳月を要した、と彼は話す。
再生エネルギーへの転換では、政治が実現しようとする速度より、市民の方がもっとスピードを上げるよう要求している。「想像していた以上のことが可能なのです」とカール氏は、国内の電気供給でまったく新しい質のあり方が可能であることを予告している。つまり、中央からの大手電力会社による供給システムから脱し、非中央の数々の発電所からの細かい送電網を実現することだ。
フーベルト・メイジンガーはヘッセンおよびナッサウのプロテスタント教会(EKHN)の環境問題担当の牧師で、エネルギー転換を、キリスト教信者としての努め、倫理的価値の基礎であると理解している。それこそ神の創世を守ることであり、未来に生まれ育つ世代の生きる権利を保証することに他ならない、と彼は主張する。人間は個人としてあらゆることを動かしていくことができるはずだが、それでも社会的構造を変革せずにはそれは到達できない、と彼は言う。
上杉氏とのインタビュー:「批判者は監視されている」
上杉隆氏は日本のジャーナリストで、自由報道協会の会長であり、「ジャーナリズム崩壊」などの本の著者である。ベルリン在住の通訳者、栗原雅美氏にインタビューを通訳してもらった。上杉隆:「日本では、政府による検閲だけでなく、国内のマスメディアの中で、自粛、という自己検閲が存在します。政府や東電などとグルになっていない独立したジャーナリストは、一握りしかいません。炉心溶融の危険について批判的な報道をするものは、これはフクシマ以前でもそうでしたが、職を失ったり、キャリアを阻まれたりするのです。
上杉さん、ジャーナリストとして、日本の検閲にどのように対処していますか?
上杉さんは個人的にどのような経験をしましたか?上杉:私は日本の朝日ニュースターで6年間キャスターを務めていましたが、批判的な報道を何度かした後に、降ろされました。この番組に携わっていたスタッフの30人あまりの同僚も同じ目に遭いました。
日本政府に対し、海外でもオープンに批判をされていて、日本で個人的に危険を感じることがありますか?上杉:身の危険は感じません。しかし、もちろん、体制批判者というレッテルを貼られているわけで、細かく監視されていることは間違いありません。ですから、間違った非難を受けることがないように気をつけています。